TEAROOM

茶室のような拡張性を持つレストルーム

高校の女子トイレの改修プロジェクトである。

私たちがこの学校で2018 年に手がけた3 階女子トイレ〈Kyoto St. Catherine High School Restroom〉での仕事が評価され、4 階の女子トイレの空間デザインも任せられることになった。

学校側の要望は1 つだけ、学校のイメージカラーである 「黄色」を取り入れること。自由度の高い環境で、建築家として新しい空間の在り方を提案しようと、アーティストの寺本愛さんに声を掛け、共同プロジェクトが実現した。

今回のテーマは「茶室」と決まった。満月を思わせる丸鏡、掛け軸を模した姿見、和室を彷彿とさせる竿縁天井などが抽象的にプロットされ、屏風を連想させる壁面には、松や手、タオルの絵が、寺本さんによってトーンを抑えて描かれている。

プロジェクトの進め方としては、まず私たちが全体の骨格部分を構成。寺本さんがそれをもとに、彼女が校内をリサーチした際に記憶に残ったフォルムや質感、イメージを加える。アーティストの描くラフスケッチを建築家が図面やCG に落とし込む、といったやりとりを幾度も重ねていくうちに、1 つ1 つのアイデアがどちらからの発案なのかわからないほどに混ざり合っていった。

「茶室」は人をもてなし、風景を愛でる空間である。このプロジェクトのトイレも、限られた空間ではあるが、茶室と同じく、その使用目的以上に拡張性を持つ空間であり、現代的に茶室を捉えるという意味も込めて、作品名もそのまま「TEAROOM」と名付けている。(瀧尻 賢)

所在地:京都府南丹市園部町
用途:レストルーム
完成:2019 年12 月
設計:Atelier Satoshi Takijiri Architects + Ai Teramoto
担当:瀧尻 賢 寺本 愛
空間アートディレクション:寺本 愛
グラフィックデザイン:寺本 愛
プロジェクトマネージャー:大森勇
施工:有限会社符川工業 アサヒ工芸
写真:西岡 潔
工事種別:リノベーション、インテリアデザイン
延床面積:20 ㎡
設計期間:2019.3-2019.07
工事期間:2019.08-2019.12