Kyoto St. Catherine High School Restroom

女性の美しさまでも表現した、レストルーム

看護教育を主に行っている私立高校における、女子トイレの改修プロジェクトである。デザインコンペティションで私たちの案が選ばれた。

求められたのは、学校にありがちな閉鎖的空間であるトイレを、デザインの力で新たな場所に改修してほしいというものだった。ブースで埋め尽くされていた空間を、2 つの操作によってつくりかえることにした。

1 つは、平面的な操作である。対角線上に一本の線を引き、空間を2 分する。2 つめは、断面的な操作で、床からの高さでいうと2.3 メートル、改修前は天井の仕上げが貼られていたラインから下の範囲のみをデザインすることにした。平面的、断面的に分割されたそれぞれの空間を、ホワイエとトイレブースとに分け、ホワイエは共用廊下と緩やかに繋げた。

カラーリングは、当初はメインカラーをピンクで考えていたが、学校側の要望と空間をつくるまでの過程で、ピンクの補色であるグリーンやグレーを基調として、空間をつくることになった。

洗面台は新たに造作した。ホワイエの中心に並べて2 つ配置し、トイレ空間に回遊性をもたせた。 壁には既存のタイルの上から淡いミントグリーンを塗装し、2.3 メートルのラインより上は何もせずに躯体あらわしとした。淡いミントグリーンと、照明の光が鏡面のように反射する特殊なグレー色が混ざりあい、トイレというよりは実験室のような、魅惑の空間となった。

一般的に女子トイレというと、ピンクに代表されるような、かわいらしいイメージが根強いが、それとは違い、挑戦的で、未来を向いた、強くて美しい女性の「さま」を、この空間で表現できたのではないかと思う。(瀧尻 賢)

所在地:京都府南丹市園部町
用途:校内トイレ
クライアント:学校法人聖カタリナ学園
工事完了:2018 年
設計:Atelier Satoshi Takijiri Architects
担当:瀧尻 賢
プロジェクトリーダー:符川工業
施工:atelier loowe
写真:西岡 潔
工事種別:リノベーション、インテリアデザイン
延床面積:20m²
設計期間:2018.4-2018.7
工事期間:2018.7-2018.9